「クレジットカードの支払いが遅れたことがあるけれど、創業融資に影響する?」「カードローンの借入があると、日本政策金融公庫の融資は受けられない?」
日本政策金融公庫の創業融資では、事業計画や自己資金だけでなく、申込者の信用情報や現在の借入状況なども審査に関係します。
ただし、「過去に一度でも支払いが遅れたら融資を受けられない」「カードローンがあれば必ず審査に落ちる」といった単純なものではありません。
今回は、日本政策金融公庫の創業融資を検討している方に向けて、信用情報とは何か、どのような情報が記録されるのか、申込前に確認しておきたいポイントについて解説します。
日本政策金融公庫は信用情報を確認する?
日本政策金融公庫は、融資申込者の信用情報を必要に応じて融資審査に利用します。
日本政策金融公庫が公表している「お客さまの情報の取扱に関する同意事項」には、加盟する個人信用情報機関および提携する個人信用情報機関に照会し、契約内容や返済状況などの情報を与信判断等に利用する旨が記載されています。
つまり、申込書や創業計画書に記載された内容だけで審査されるわけではなく、信用情報として登録されているクレジットやローンなどの契約・支払状況も審査資料になり得ます。
【出典】日本政策金融公庫「お客さまの情報の取扱に関する同意事項」
信用情報にはどのような情報が登録されている?
信用情報には、クレジットカードや各種ローンなどについて、契約内容や残高、支払状況などの情報が登録されています。
例えば、信用情報機関のCICでは、本人が情報開示を行うことで、クレジット会社等との契約内容、支払状況、残債額などを確認することができます。
自分では「昔のことだから問題ないだろう」と思っていても、信用情報にどのような情報が登録されているかは、実際に開示してみないと分からない場合があります。
【出典】CIC「情報開示では、どのような情報を確認することができますか?」
創業融資を申し込む前に確認しておきたいポイント
信用情報や現在の借入状況について、特に確認しておきたいポイントを整理してみます。
① クレジットカードやローンの支払状況
クレジットカードや住宅ローン、自動車ローン、カードローンなどの契約内容や支払状況は、信用情報に登録されることがあります。
過去に支払いが遅れたことがあるからといって、それだけで必ず融資を受けられないとはいえません。
一方で、現在も延滞している場合や、返済状況に問題がある場合には、融資審査に影響する可能性があります。
② カードローンや消費者金融などの借入残高
創業融資を申し込む時点で、個人としてどれくらいの借入があるのかも確認しておきたいポイントです。
借入があること自体をもって、直ちに融資を受けられないというわけではありません。
ただし、住宅ローンや自動車ローン、カードローンなどの返済があれば、創業後も個人として返済を続ける必要があります。
事業から得られる収入で生活費と既存借入の返済を賄えるのかという点も含めて、無理のない資金計画になっているか確認しておくことが大切です。
③ 携帯電話の端末代金の分割払い
意外と見落としやすいのが、携帯電話やスマートフォンの端末代金です。
携帯電話の通信料金そのものと、端末を分割購入した場合の割賦契約は分けて考える必要があります。
端末を分割購入している場合、その契約や支払状況が信用情報に登録されることがあります。
「ローンを組んだ覚えはない」という場合でも、スマートフォンを分割払いで購入している方は確認しておくとよいでしょう。
④ 税金や公共料金などの支払状況
税金や一般的な公共料金の支払状況が、クレジットカードやローンと同じようにすべて個人信用情報機関へ登録されているわけではありません。
ただし、創業融資では申込内容に応じて通帳などの資料を確認することがあります。
そのため、信用情報とは別に、提出した資料などから日常的な入出金や各種支払いの状況が確認される可能性があります。
過去に債務整理や自己破産をしている場合は?
信用情報は永久に登録され続けるものではなく、情報の種類や信用情報機関によって登録期間が定められています。
例えば、CICではクレジット情報について契約期間中および契約終了後5年以内としています。
また、全国銀行個人信用情報センターでは、取引情報について契約期間中および契約終了日等から5年を超えない期間、官報に公告された破産・民事再生手続開始決定については決定日から7年を超えない期間としています。
そのため、「自己破産したら一律○年間は創業融資を受けられない」と単純に判断するのではなく、現在どのような情報が登録されているのかを確認することが重要です。
【参考】CIC「信用情報は、どのくらいの期間登録されるのですか?」
不安があるなら申込前に自分の信用情報を確認する
「昔、クレジットカードの引き落としができなかったことがある」「カードローンを利用していた時期がある」「過去の情報が残っているか分からない」という場合には、融資を申し込む前に自分の信用情報を確認する方法があります。
信用情報機関では、本人が自分の信用情報について開示を申し込むことができます。
心当たりがある場合には、「たぶん大丈夫だろう」と推測したまま融資を申し込むよりも、まず現在登録されている情報を確認してから資金調達の計画を立てる方がよいでしょう。
【元銀行員として】
創業融資では事業計画が重要ですが、事業計画だけで融資が決まるわけではありません。
どれだけ魅力的な事業計画でも、既存の借入や返済状況に懸念があれば、それを事業計画だけで簡単にカバーできるとは考えない方がよいでしょう。
特に信用情報に心当たりがある場合には、融資を申し込んでから問題に気付くのではなく、申込前に自分で確認しておくことをおすすめします。
また、創業融資を受けた後も、借入金の返済を約定どおり続けていくことは、その後の追加融資や金融機関との取引を考えるうえでも大切です。
信用情報だけで創業融資が決まるわけではない
ここまで信用情報について説明しましたが、信用情報だけで創業融資の可否が決まるわけではありません。
創業融資では、創業計画の内容、必要資金と調達方法、自己資金、これまでの経験、事業の見通し、既存借入など、さまざまな事情を踏まえて審査されます。
信用情報に特に問題がなくても、事業計画や資金計画に無理があれば融資が希望どおりにならないことはあります。
逆に、「信用情報に少し心当たりがあるから絶対に無理」と自己判断するのではなく、まず現在の状況を正確に把握することが第一歩です。
まとめ|創業融資を申し込む前に信用情報を確認しておこう
日本政策金融公庫の創業融資では、創業計画だけでなく、申込者の信用情報や現在の借入状況なども審査資料になり得ます。
ただし、「一度でも支払いが遅れたら融資を受けられない」「カードローンがあれば必ず審査に落ちる」といった単純なものではありません。
重要なのは、自分の現在の状況を正確に把握したうえで、既存の借入返済や生活費まで含めた無理のない創業計画を作ることです。
過去の返済履歴に不安がある場合には、融資申込前に信用情報を開示して確認しておくとよいでしょう。









