ある不動産小口化商品では、約5年間運用したあとに「出資元本を返還する」という仕組みが採られているケースがありました。
毎年の高い分配金に目が奪われがちですが、ここで税理士としてどうしても気になってしまうのが「将来のキャッシュフロー(お金の流れ)」です。
「黒字(利益)」と「手元にお金があるか」は別問題
不動産投資や事業経営において、「会計上の利益が出ていること」と「手元に現金が残っていること」はまったくの別物です。
特に重要になるのが、以下の2つのバランスです。
- 借入金などの元本返済額(現金は出ていくが、経費にはならない)
- 減価償却費(経費にはなるが、現金は出ていかない)
元本返済の金額が減価償却費を大きく上回る状態が続くと、計算上(紙の上)は利益が出ていて税金が発生しているのに、手元の現金はどんどん減っていくという現象が起こります。
5年後の「まとまった返還資金」はどう作るのか?
さらに、5年後に投資家へ出資元本をまとめて返還するのであれば、満期時には巨額の現金を用意しなければなりません。
「毎年の分配金を払えていること」と、「5年後にまとまった元本を返せること」は全く別のハードルです。
税理士の視点で見ると、「その5年後の返還原資を、どのように積み立てて確保する計画なのか?」というキャッシュフローの裏付けこそが、最も重要なチェックポイントになります。
【元銀行員・税理士コラムのまとめ】
不動産投資を検討する際は、表面的な高い利回りや見かけの利益だけでなく、「将来の元本返済とキャッシュフローのバランス」までしっかり目を向けることが、失敗しないための大切な視点です。



