高い利回りをうたう不動産投資商品を見ると、「こんなに利回りが高いなら、銀行に預けておくよりも有利なのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、元銀行員の私からすると、利回りを見る前にどうしても気になってしまうポイントがあります。
それは、「なぜ、この方法で資金を集めているのか?」ということです。
今回は、特定の投資商品の良し悪しを判断するものではなく、元銀行員として投資商品の資金調達を見るときに気になるポイントについてお話しします。
不動産事業にはいろいろな資金調達方法がある
不動産事業を行う場合、代表的な資金調達方法の一つが金融機関からの借入です。
ただし、銀行融資だけですべての資金を調達するとは限りません。
自己資金を組み合わせることもありますし、投資家から出資を募ることもあります。また、借入比率の調整や複数の事業への資金配分など、事業者側の財務戦略によって資金調達方法が選択されることもあります。
そのため、「銀行融資ではない=銀行から借りられない」と単純に考えることはできません。
ただ、元銀行員としては、その資金調達方法を選んでいる「理由」が気になります。
銀行員は「なぜこの条件で資金を調達するのか」を見る
銀行が融資を検討するときには、物件の収益性だけでなく、担保価値、事業者の財務内容、返済能力、事業計画など、さまざまな要素を確認します。
一方、事業者側から見れば、銀行借入には金利などの資金調達コストがかかります。
投資家から出資を募る場合にも、当然コストがあります。
そこで気になるのが、「それぞれの調達方法を比較したうえで、なぜこの方法を選んでいるのか?」ということです。
銀行から借りられるかどうかだけを見るのではなく、資金調達全体の仕組みを見るということです。
多数の投資家から資金を集めるにもコストがかかる
多数の個人投資家から出資を募る場合、単純に「お金を集めれば終わり」というわけではありません。
- 投資家を募集するための広告・営業
- 契約や資金管理
- 運用状況などの情報提供
- 分配金の計算・支払い
- 商品を運営・管理するための事務
このように、投資家から資金を集めて運用するためには、さまざまなコストや事務負担が発生します。
さらに高い想定利回りを提示しているのであれば、当然、その分配をどのような収益によって生み出す計画なのかも気になります。
そこで元銀行員として考えるのが、「こうしたコストを負担してでも、この方法で資金を調達する理由は何だろう?」ということです。
「銀行から借りられないから」と決めつけない
ここは誤解しないようにしたいところです。
投資家から資金を集めているからといって、「銀行から融資を受けられない事業なのではないか」と決めつけることはできません。
銀行融資と投資家からの出資では資金の性質が異なりますし、借入比率の調整、財務戦略、事業展開などを理由として、複数の資金調達方法を組み合わせることも考えられます。
だからこそ、資金調達の形式だけで良し悪しを判断するのではなく、「なぜ、この資金調達方法を選んでいるのか」を確認することが重要だと思います。
高い利回りには、その数字を生み出す仕組みがある
投資商品を見るときには、「年○%」という数字がどうしても目立ちます。
しかし、その数字だけを見ても、事業の中身までは分かりません。
例えば、
- どのような不動産から収益を得るのか
- 賃料などの収入はどの程度を見込んでいるのか
- 運営コストや借入金の負担はどの程度あるのか
- 投資家への分配原資は何なのか
- なぜその資金調達方法を選択しているのか
といったところまで見ていくと、「利回り○%」という一つの数字とは違ったものが見えてくることがあります。
【元銀行員・税理士からのコメント】
銀行員時代、融資案件を見るときには、「いくら利益が出るのか」だけでなく、「なぜこの金額が必要なのか」「どうやって返済するのか」といった資金の流れも確認していました。
そのため、不動産投資商品を見ても、私はどうしても利回りだけではなく、「なぜこの条件で、この方法によって資金を集めているのか?」というところが気になります。
銀行融資以外の資金調達方法を選んでいること自体が問題なのではありません。
大切なのは、その理由と、提示されている利回りを生み出す事業の仕組みを理解することだと思います。
まとめ
高い利回りの不動産投資商品を見たとき、「利回りが高いから良い」「高いから危ない」と数字だけで判断することはできません。
銀行融資、自己資金、投資家からの出資など、不動産事業にはさまざまな資金調達方法があります。
その中で、「なぜ、この事業ではこの資金調達方法を選んでいるのか?」という視点を持つと、利回りだけを見ていたときとは違った角度から商品を見ることができます。
投資商品の良し悪しを判断するのではなく、まずはその数字が生まれる仕組みを理解する。
元銀行員としては、利回りを見る前に確認しておきたいポイントの一つです。









