税務や法律の世界では、相続の手続きについてよく「相続開始を知った日の翌日から10か月以内」といった言い回しが登場します。
「亡くなった日=相続が始まった日」なのだから、要するに亡くなった日がカウントダウンのスタートでしょ?と思われるのが普通です。
実際、ご家族と同居していたり日常的に連絡を取り合っていれば、「亡くなった日」と「知った日」は完全に一致します。しかし、この「知った日」のズレが、実務上とても重要な意味を持つケースがあるのです。
「知った日」がズレる4つの具体例
- 音信不通だった相続人がいる
長年疎遠になっており、警察や他の親族、弁護士からの連絡によって数か月後に初めて訃報を知るケースです。通知の手紙を開封した日などが「知った日」になります。 - 海外旅行や長期滞在で連絡が取れなかった
電波の届かない地域への旅行や長期出張中に亡くなられ、帰国して携帯電話を確認したタイミングで初めて知るようなケースです。 - 本人が意識不明の重体だった
被相続人が亡くなった際、相続人自身も事故や病気で入院しており、意識が回復して事態を認識できる状態になるまで時間がかかったケースです。 - 認知機能が低下していた
認知症などの理由で「亡くなった」という事実を正しく理解できていなかったケースです。この場合、成年後見人が選任されて通知を受けた日などが基準となることがあります。
期限のカウントダウンは「人ごとに」スタートする
相続税の申告や相続放棄などの手続きには、厳格なタイムリミットが設定されています。
ここでポイントとなるのは、相続人が複数いる場合、「知った日」は相続人ごとに異なる可能性があるという点です。同じ日に亡くなられていても、同居していた長男と、音信不通だった次男とでは、手続きの期限がスタートする日が別々になります。
【相続コラムのワンポイント】
「ずっと連絡を取っていない親族がいる」「身内の訃報をかなり後から知った」といった場合は、いつどのような形でその事実を知ったのか(通知の郵便物や着信履歴など)を証拠として残しておくことが大切です。
少し特殊なケースに思えるかもしれませんが、「我が家はどうだろう?」と気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

