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昭和天皇の相続|皇太后の相続税はなぜ0円だった?配偶者の税額軽減を解説

昭和天皇が崩御された際、遺産についても相続税の申告が行われました。

昭和天皇の遺産については、1989年7月に宮内庁から内容が明らかにされ、当時の新聞各紙が報じています。

当時の報道などによると、香淳皇后と当時の天皇陛下が財産を相続し、香淳皇后については配偶者に対する相続税の軽減制度により納付税額が0円となり、当時の天皇陛下は約4億2,800万円の相続税を納付したとされています。

これだけ大きな相続で、なぜ配偶者の相続税額は0円になるのでしょうか。

今回は昭和天皇の相続をきっかけに、現在の相続税における「配偶者の税額軽減」について解説します。

昭和天皇の相続でも相続税が納付されている

昭和天皇が崩御されたのは、昭和64年(1989年)1月7日です。

昭和天皇の遺産総額については、当時の宮内庁発表をもとに18億6,900万円と報じられています。

また、当時の天皇陛下が昭和天皇の財産を相続し、相続税を納付されたことは、宮内庁に残されている当時の記者会見からも確認できます。

その後の国会審議でも、当時の新聞記事をもとに、昭和天皇の財産を相続した当時の天皇陛下が約4億2,800万円の相続税を納付したことが紹介されています。

【参考】宮内庁「天皇陛下ご即位に際し(平成元年)」

【参考】国会会議録(参議院財政金融委員会・平成31年3月19日)

香淳皇后の納付税額は0円だったとされています

一方、香淳皇后については、配偶者に対する相続税の軽減制度が適用され、納付すべき相続税額は0円だったとされています。

相続税には、被相続人の配偶者の税負担を軽減する制度があります。

現在は「配偶者の税額軽減」と呼ばれている制度です。

なお、昭和天皇の相続は1989年のことです。その後、相続税制度は改正されていますので、当時の相続税を現在の制度にそのまま当てはめて計算することはできません。

ここからは、現在の制度について見ていきます。

現在の配偶者の税額軽減とは?

現在の相続税では、配偶者が実際に取得した正味の遺産額が、次のいずれか多い金額までであれば、配偶者の相続税額は0円となります。

  • 1億6,000万円
  • 配偶者の法定相続分相当額

例えば、夫が亡くなり、妻と子が相続人となる場合、妻の法定相続分は2分の1です。

正味の遺産額が4億円であれば、その2分の1は2億円です。

この場合は1億6,000万円より2億円の方が大きいため、妻が実際に取得した正味の遺産額が2億円までであれば、配偶者の税額軽減によって妻の相続税額は0円となります。

つまり、「配偶者の税額軽減は1億6,000万円まで」というわけではありません。

【出典】国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」

相続税額が0円でも申告が必要

配偶者の税額軽減で特に注意したいのが、相続税の申告です。

この制度を適用した結果、納付すべき相続税額が0円になる場合でも、制度の適用を受けるためには相続税の申告が必要です。

配偶者の税額軽減は、配偶者が実際に取得した財産をもとに計算します。

そのため、原則として相続税の申告期限までに遺産分割が行われていない財産は、配偶者の税額軽減の対象になりません。

ただし、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出し、その後一定の期間内に遺産分割が成立した場合などには、後から配偶者の税額軽減を受けられる場合があります。

【参考】国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」

配偶者に多く相続してもらえばいい?

配偶者の税額軽減だけを見ると、「それなら配偶者にできるだけ多く相続してもらえばいいのでは?」と思われるかもしれません。

確かに、最初の相続では配偶者の税額軽減によって相続税を大きく抑えられる場合があります。

しかし、その配偶者が亡くなったときには、再び相続が発生します。

これが一般に「二次相続」と呼ばれるものです。

一次相続で配偶者が多くの財産を取得すると、一次相続の相続税は少なくても、二次相続まで含めた税負担が増えることがあります。

また、二次相続では相続人の人数が減り、相続税の基礎控除額が小さくなるケースもあります。

【税理士からのコメント】

配偶者の税額軽減は非常に大きな効果のある制度ですが、一次相続の税額だけを見て遺産分割を決めるのはおすすめできません。

配偶者自身がもともと所有している財産、今後必要になる生活資金、不動産を誰が引き継ぐのか、そして二次相続まで考えると、財産の分け方によって将来の相続税は変わります。

「今回の相続税をいくらにするか」だけではなく、「家族全体で財産をどのように引き継ぐか」という視点で考えることが大切です。

まとめ

昭和天皇の相続では、香淳皇后について、配偶者に対する相続税の軽減制度により納付税額が0円となり、当時の天皇陛下は約4億2,800万円の相続税を納付したとされています。

現在の相続税にも「配偶者の税額軽減」があり、配偶者が実際に取得した正味の遺産額が「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のいずれか多い金額までであれば、配偶者の相続税額は0円となります。

ただし、この制度を利用して相続税額が0円になる場合でも、相続税の申告は必要です。

また、一次相続の相続税だけでなく、二次相続まで含めて誰がどの財産を相続するのかを検討することも重要です。

参考資料・出典

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