「クラウド会計に銀行口座やクレジットカードを連携しているから、自動で正しい帳簿ができている」
そう考えている事業者の方もいらっしゃいます。
確かに、クラウド会計の自動連携は日々の経理を効率化してくれる非常に便利な機能です。
しかし、銀行口座やクレジットカードを連携しただけで、正しい決算書や確定申告書が自動的に完成するわけではありません。
特に注意したいのが、決算日前後の「売上の期ズレ」です。
今回は、クラウド会計を利用している場合に起こりやすい売上の期ズレと、決算時に確認しておきたいポイントを解説します。
銀行口座の入出金だけで帳簿を作っていませんか?
クラウド会計では、銀行口座を連携すると入出金データを自動的に取り込むことができます。
例えば、銀行口座へ100万円の入金があれば、その入金データを使って売上を登録することができます。
非常に便利なのですが、「入金された日=売上を計上する日」とは限りません。
銀行口座の入出金データだけを基準に売上や経費を登録していると、お金が動いた日を基準とした処理になりやすいため、注意が必要です。
12月の売上が翌年1月の売上になってしまうケース
例えば、12月決算の会社で次のような取引があったとします。
- 12月20日:仕事が完了し、100万円を請求
- 翌年1月31日:取引先から100万円が入金
銀行口座の自動連携だけを見て処理すると、1月31日の入金時に「売上100万円」と登録してしまうことがあります。
しかし、この売上を12月20日に計上すべき場合には、売掛金100万円/売上100万円として、当期の売上に計上する必要があります。
1月31日の入金時には、売上をもう一度計上するのではなく、売掛金を回収したものとして処理します。
この処理をせず、1月の入金時に売上を計上すると、本来12月までに計上すべき売上が翌期へずれてしまいます。
税務調査でも確認される「売上の期ズレ」
売上の期ズレは、税務調査でも確認されることがあるポイントです。
例えば、調査官が決算日後の銀行口座を確認し、1月や2月に大きな入金があれば、その入金がいつの売上に対応するものなのかを確認することがあります。
【税務調査で考えられる確認例】
調査官:「1月に入金されているこの100万円について、請求書を確認させてください。」
事業者:「12月に完了した仕事の請求分です。」
調査官:「では、12月末の売掛金には計上されていますか?」
ここで売掛金に計上されていなければ、本来当期に計上すべき売上が翌期へずれていないかを確認することになります。
本人に売上を隠すつもりがなくても、「銀行に入金された日に売上を登録していた」という処理によって、結果として売上の計上時期を誤ってしまうことがあります。
クラウド会計でも、収益や費用の計上時期の確認は必要
売上や経費は、単純にお金が入った日・出ていった日だけで判断するのではなく、取引の内容に応じて適切な時期に計上する必要があります。
クラウド会計を使っている場合でも、この考え方が変わるわけではありません。
銀行口座やクレジットカードから自動的に取り込まれたデータは、あくまで「取引を入力するための材料」です。
自動連携されたデータをそのまま登録しても、正しい会計処理になるとは限らないという点は押さえておきましょう。
決算時には、決算日前後の取引を確認する
【税理士からのコメント】
クラウド会計は日々の記帳を効率化してくれる非常に便利なツールですが、銀行口座を連携しただけで決算作業まで終わるわけではありません。
特に確認したいのが、決算日前後の取引です。
12月決算であれば、翌年1月以降の入金について、「これはいつの仕事の売上なのか」を確認します。
同じように、決算日後に支払った経費についても、当期に計上すべきものがないか確認する必要があります。
クラウド会計の自動連携に任せる部分と、人が確認しなければならない部分を分けることが大切です。
売上だけでなく経費の期ズレにも注意
期ズレは売上だけの問題ではありません。
例えば、12月中に受けたサービスについて翌年1月に代金を支払った場合など、取引内容によっては12月末時点で費用と未払金などを計上する必要があります。
決算時には、銀行口座の残高を合わせるだけでなく、決算日前後の売上・仕入・経費が、適切な時期に計上されているかを確認しましょう。









