世界的な賞を受賞すると、名誉とともに賞金が贈られることがあります。
では、この賞金には所得税がかかるのでしょうか。
実は、賞の知名度や権威が高いからといって、必ず非課税になるわけではありません。
今回は、ノーベル賞、芥川賞・直木賞、フィールズ賞、そして少し変わったイグノーベル賞を例に、賞金と税金の関係を見てみましょう。日本の居住者が受け取る場合の所得税について説明します。
ノーベル賞の賞金はなぜ非課税?
ノーベル賞の受賞者には、多額の賞金が贈られます。
これだけ大きな金額を受け取れば、かなりの所得税がかかりそうですが、所得税法では、ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品を非課税としています。
これは「世界的に有名な賞だから」という理由ではなく、法律に非課税の規定があるためです。
つまり、賞の知名度ではなく、税法上、非課税となる賞金に該当するかどうかがポイントです。
芥川賞・直木賞の賞金は?
一方、日本を代表する文学賞である「芥川龍之介賞(芥川賞)」や「直木三十五賞(直木賞)」でも、副賞として賞金が贈られます。
非常に知名度の高い文学賞ですが、ノーベル賞のような非課税規定の対象ではなく、原則として所得税の課税対象となります。
ただし、「賞金だから必ず一時所得」と決まっているわけではありません。
受賞者の執筆活動など、その人の仕事や活動との関係によって、所得区分を判断する必要があります。
「有名な賞だから非課税」「賞金だから一時所得」と単純に判断できないところが、税務の少し面白いところです。
数学界の「フィールズ賞」は?
数学の世界で非常に権威のある賞として知られているのが「フィールズ賞」です。
4年に一度、国際数学者会議の機会に授与され、「数学界のノーベル賞」と表現されることもあります。
【参考】International Mathematical Union(国際数学連合)「Fields Medal」
しかし、賞の世界的な評価と、日本の所得税法上の取扱いは別の問題です。
フィールズ賞の賞金も、ノーベル賞と同じ非課税規定の対象ではなく、日本の居住者が受け取る場合には、原則として課税対象となります。
実際の所得区分については、賞金の性質や受賞者の研究活動との関係など、個別の事情を踏まえて判断する必要があります。
イグノーベル賞の「10兆ジンバブエドル」は?
最後は、ユニークな研究などに贈られる「イグノーベル賞」です。
イグノーベル賞は、人々を笑わせ、そして考えさせる研究などを表彰する賞として知られ、日本人研究者の受賞がニュースになることもあります。
この賞で面白いのが、受賞者に「10兆ジンバブエドル」の紙幣が贈られた例がある点です。
【参考】Improbable Research「The Relative Value of Big Science Prizes」
「10兆」と聞くと、とんでもない金額に思えます。
しかし、これはハイパーインフレで知られる旧ジンバブエドルの紙幣です。
税務上も、紙幣に印刷された「10兆」という額面だけで所得金額を判断するわけではありません。実際に受け取ったものの経済的価値を踏まえて考えることになります。
したがって、「10兆ジンバブエドルをもらったから、とんでもない所得税がかかる」という話ではありません。
賞金はすべて「一時所得」になるわけではない
賞金の税金でもう一つ注意したいのが、「賞金=一時所得」とは限らないことです。
例えば、業務と関係のない懸賞の賞金などは、一時所得に該当することがあります。
一時所得には最高50万円の特別控除があり、通常は特別控除後の金額の2分の1が総所得金額に算入されます。この50万円の控除は、賞金一つごとではなく、その年の対象となる一時所得全体に対するものです。
一方、その賞金が本人の事業や仕事に関して受け取るものである場合には、事業所得など、別の所得区分に該当することもあります。
そのため、賞金を受け取った場合には、賞金の名称だけではなく、「なぜその賞金を受け取ったのか」「どのような活動に対して支払われたのか」を見ることが大切です。
まとめ
賞金に所得税がかかるかどうかは、「世界的に有名な賞だから」「権威のある賞だから」という理由だけで決まるものではありません。
税法上の非課税規定に該当するか、課税対象であればどの所得区分になるかを確認することが大切です。
イグノーベル賞の紙幣のように、額面と実際の価値を分けて考える必要がある例もあります。賞の名前や金額の印象だけで判断しないようにしましょう。









