住宅ローンやマイカーローン、事業資金の融資を申し込むときに記入する「ローン申込書」。
住所、年齢、勤務先、年収、預金、他の借入金、家族構成など、さまざまな項目を記入します。
「どうしてこんなに細かいことまで書く必要があるのだろう?」と思ったことがある方もいるかもしれません。
金融機関によって審査方法は異なり、住宅ローン、マイカーローン、事業融資でも確認するポイントは同じではありません。また、融資商品によってはスコアリングなどの仕組みが利用されることもあります。
ただ、基本的な考え方として金融機関が確認したいのは、「貸したお金を将来にわたって返済できるか」という点です。
今回は、元銀行員の税理士という立場から、ローン申込書に記載する主な項目を金融機関がどのような視点で見ているのかを解説します。
1.「年齢」は返済期間とセットで見る
申込書に記載する年齢は、単なる本人確認のためだけの情報ではありません。
特に返済期間の長い住宅ローンなどでは、現在の年齢だけでなく、「完済するときに何歳になっているのか」という点も重要になります。
例えば、現在40歳の人が20年返済のローンを組む場合と、35年返済のローンを組む場合では、完済時の年齢が大きく異なります。
返済期間が退職後まで続くのであれば、現在の収入だけではなく、将来の返済についても考える必要があります。
そのため、年齢は単独で見るというより、返済期間や収入などと組み合わせて確認される項目と考えると分かりやすいでしょう。
2.「勤務先・職業」は収入の継続性を見る
勤務先や職業についても確認されます。
ただし、単純に「大企業だから大丈夫」「自営業だからダメ」というものではありません。
勤務先の状況に加えて、勤続年数、雇用形態、収入の状況などから、今後も収入が継続すると考えられるかを確認します。
個人事業主や会社経営者の場合には、給与所得者とは異なり、確定申告書や決算書などから事業の状況を確認することもあります。
特に事業融資の場合には、申込者本人の属性だけではなく、事業内容や業績、資金使途、今後の収支計画なども重要な審査材料になります。
3.「年収」は金額だけを見ているわけではない
融資審査において、年収は返済能力を判断する重要な情報の一つです。
ただし、「年収が高ければ必ず融資を受けられる」という単純なものでもありません。
例えば、年収が高くても、すでに多額の借入金があり、毎月の返済額が大きければ、新しいローンの返済余力は小さくなります。
反対に、年収だけを見ればそれほど高くなくても、既存借入が少なく、無理のない返済計画であれば、見え方は変わってきます。
「いくら稼いでいるか」だけではなく、「その収入から無理なく返済できるか」が重要です。
4.「預金・自己資金」から分かること
融資の種類によっては、預金や自己資金の状況についても確認されます。
例えば住宅ローンであれば、住宅購入時にどの程度自己資金を用意するのかによって、必要な借入額が変わります。
また、創業融資では、事業を始めるためにどの程度の自己資金を準備してきたのかが確認されることがあります。
預金が多ければ必ず融資審査で有利になるというものではありませんが、借入後の資金繰りや自己資金の状況を考えるうえで重要な情報の一つになります。
5.「他の借入金」は必ず正確に記載する
住宅ローン、マイカーローン、カードローンなど、すでに他の借入金がある場合には、その残高や毎月の返済額などを確認されます。
金融機関が確認したいのは、新しく申し込むローンだけではありません。
現在返済しているローンと、新しく借りるローンを合わせても無理なく返済できるかを確認します。
そのため、他の借入金については正確に申告することが重要です。
個人向けローンでは、金融機関が信用情報機関の情報を確認することもあります。
「書かなければ分からないだろう」と考えて借入金を記載しないことは避けるべきです。
6.「住居」から住居費や既存ローンを確認することもある
申込書では、持ち家か賃貸住宅かなど、現在の住居について記載することがあります。
持ち家だから必ず審査でプラスになる、賃貸だからマイナスになる、という単純なものではありません。
持ち家であっても住宅ローンが残っている場合がありますし、賃貸住宅であれば毎月の家賃負担があります。
また、不動産を所有していても、その不動産が今回の融資の担保になるとは限りません。
住居に関する情報も、申込者の資産・負債や毎月の支出状況などを把握するための情報の一つと考えるとよいでしょう。
7.「家族構成」も返済余力を考える材料になる
申込書によっては、配偶者や扶養家族などについて記載することがあります。
同じ年収であっても、家族構成などによって家計の状況は異なります。
ただし、「子どもが多いから何点減点」といった単純な仕組みですべての融資審査が行われているわけではありません。
金融機関や融資商品によって確認項目や審査方法は異なりますが、家族構成なども含めて申込者の生活状況を把握するための情報として利用されることがあります。
ローン審査は「一つの項目」だけでは決まらない
ローン申込書には多くの記載項目がありますが、融資審査は「年収が高いから大丈夫」「持ち家だから大丈夫」と、一つの項目だけで決まるものではありません。
例えば、
- 収入
- 勤務先や事業の状況
- 既存の借入金
- 返済期間
- 信用情報
- 自己資金
- 資金使途
- 担保や保証の有無
など、融資商品に応じたさまざまな情報をもとに判断されます。
スコアリング方式を利用する商品もあります。一方、すべての金融機関・すべての融資商品が同じ審査方式を採用しているわけではありません。
【元銀行員の税理士からのコメント】
銀行員時代、融資の仕事に携わっていると、申込書に書かれている一つ一つの項目には、それぞれ確認する意味があることが分かります。
金融機関が知りたいのは、単に「年収はいくらか」「預金はいくらあるか」という数字だけではありません。
最終的には、「この人・この事業に融資をして、今後無理なく返済を続けられるか」という点をさまざまな資料から確認しています。
特に事業融資では、決算書の数字だけでなく、「なぜお金が必要なのか」「借りたお金を何に使うのか」「その後どのように返済するのか」を説明できることも大切です。
まとめ|細かい質問にもそれぞれ理由がある
ローン申込書には、年齢、勤務先、年収、預金、他の借入金、住居、家族構成など、多くの項目があります。
記入する側からすると、「ここまで書く必要があるの?」と思う項目もあるかもしれません。
しかし、金融機関にとっては、融資後も無理なく返済を続けられるかを判断するための情報です。
ローン審査は一つの項目だけで決まるものではなく、収入・借入・資産・返済計画などを含めて総合的に判断されます。
ローン申込書を見るときに、「銀行はなぜこの項目を聞いているのだろう?」という視点で見てみると、少し違って見えるかもしれません。
参考資料・出典
- 国土交通省「民間住宅ローンの実態に関する調査」(住宅ローンの審査項目等)









